銘柄スクリーニングの実践テクニック|4000銘柄から勝てる候補を見つける方法

東証には約4000銘柄が上場しています。毎日すべてのチャートを目視で確認するのは物理的に不可能です。

だからスクリーニングを使います。条件を数値で指定して、機械的に候補を絞り込む。人間の目では見落とす銘柄も、スクリーナーなら漏れなく拾ってくれます。

ただし、スクリーニングは「発見」であって「判断」ではありません。条件を通過した銘柄をそのままエントリーするのは事故のもとです。

スクリーニングからエントリーまでの全体像はこうなります。

  1. スクリーニングで候補を発見する(この記事)
  2. 条件の設計根拠を理解するスクリーニング条件の設計|ロングとショートで変える理由とパラメータの決め方
  3. 監視リストで育てて、エントリーにつなげる監視銘柄リストの作り方|スクリーニングからエントリーまでの「待ち方」

この記事では1の「具体的な操作と手順」に集中します。


目次

スクリーナーはTradingViewの株式スクリーナーを使う

スクリーニングツールは複数ありますが、この記事ではTradingViewの株式スクリーナーを前提にします。

理由はシンプルです。無料プランでもテクニカルフィルタが豊富に使える。移動平均線、RSI、ATRといったスイングトレードで必要な条件をすべてカバーできる。そしてスクリーニング結果からワンクリックでチャートに飛べるので、一次チェックの効率が段違いです。

最初にやる基本設定

スクリーニングを始める前に、以下の基本設定を済ませます。毎回変える必要はなく、一度設定すれば保存されます。

マーケット:日本。 初期状態ではアメリカが選択されていることがあります。

シンボルタイプ:普通株のみ。 ETFやREITを除外します。これを設定しないとスクリーニング結果にETFが混在して、銘柄選定がブレます。

取引所:TSE(東京証券取引所)。 名証や福証に上場している銘柄は流動性が低いことが多いため、東証に絞ります。


ロング候補のスクリーニング手順

ロングで探しているのは「上昇トレンドの中で押し目をつけている銘柄」です。この形を数値フィルターに翻訳していきます。

Step1:流動性フィルタで「取引できない銘柄」を排除する

最初に出来高でフィルタをかけます。

出来高:10万株以上(直近20日平均)

出来高が少ない銘柄は、買いたい時に買えない、売りたい時に売れない。特にスイングトレードでは数日間ポジションを持つので、手仕舞いの時に板がスカスカだと想定外のスリッページが発生します。

10万株は最低ラインです。資金が大きい場合や、より安全に行きたい場合は30万株以上に引き上げてください。

Step2:トレンドフィルタで「上昇トレンド」だけ残す

次に移動平均線の配列でトレンド方向をフィルタします。

EMA20 > EMA50 > SMA200

短期(EMA20)が中期(EMA50)の上、中期が長期(SMA200)の上。この配列は「パーフェクトオーダー」と呼ばれ、明確な上昇トレンドを示します。

TradingViewでは「EMA(20)が上 > EMA(50)」「EMA(50)が上 > SMA(200)」のようにフィルターを追加します。

ここでSMA200を「背骨」として使う理由は、SMA200を割り込んでいる銘柄は長期的なトレンドが崩れている可能性が高いからです。ロング候補でSMA200の下にある銘柄に手を出す理由はありません。

Step3:押し目フィルタで「今エントリーできそうな銘柄」を拾う

トレンドが出ている銘柄の中から、さらに「今が押し目」の銘柄だけを残します。

RSI(14):35〜55の範囲

RSIが70以上の銘柄は、すでに買われすぎて押し目ではない。逆にRSIが30を割り込んでいる銘柄は、上昇トレンドの中で異常に売られている=何か問題が起きている可能性があります。35〜55の帯域は「トレンド方向に動いていて、かつ直近で少し下げている」状態を捉えます。

また、株価がEMA20付近にあることも押し目の条件として有効です。TradingViewでは「価格がEMA(20)に交差」のフィルタで近似できます。

Step4:ボラティリティフィルタで「値幅がある銘柄」だけ残す

最後にATR(Average True Range)でフィルタします。

ATR(14):株価の1.5%以上

ATRが小さい銘柄は値幅が出ないので、スイングトレードには向きません。エントリーしても動かない=時間だけが過ぎていく。

ATRの絶対値ではなく、株価に対する比率で見ることが大事です。株価1000円のATR15円と、株価10000円のATR15円ではまったく意味が違います。TradingViewでは「ATR(14) / 終値 × 100」を直接フィルタすることはできないため、候補が出た後に手動で確認するか、株価帯とATRの組み合わせで絞り込みます。


これら4つのフィルターを順番に適用すると、4000銘柄が通常20〜50銘柄程度に絞り込まれます。多すぎる場合は出来高やATRの基準を厳しくして調整してください。

各条件の「なぜこの値にするのか」という設計根拠を詳しく知りたい場合は、スクリーニング条件の設計|ロングとショートで変える理由とパラメータの決め方で扱っています。


ショート候補のスクリーニング手順

ショートで探しているのは「下落トレンドの中で一時的に戻している銘柄」です。ロングの条件を単純に反転させるだけでは不十分な部分があります。

トレンドフィルタの反転

SMA200 > EMA50 > EMA20

ロングとは逆の配列です。長期が上、短期が下。下落トレンドの中にいることを確認します。

RSI帯域はロングと対称にならない

RSI(14):50〜65の範囲

ロングの押し目は35〜55でしたが、ショートの戻りは50〜65です。数値が対称にならない理由は、下落トレンドではRSIが上に振れにくい性質があるからです。ロングの押し目RSI35に対応するショートの戻りは、RSI65ではなく、もう少し低い位置で十分に「戻りすぎ」になります。

この非対称性の詳しい解説はスクリーニング条件の設計に譲ります。

ショート特有の注意:貸借銘柄の確認

スクリーニング結果に出てきた銘柄が、信用売りの対象であるかどうかは必ず確認してください。制度信用の貸借銘柄でなければ空売りができません。TradingViewのスクリーナーにはこのフィルタがないため、証券会社のサイトで個別に確認する必要があります。


スクリーニング結果の一次チェック

スクリーナーの数値フィルターを通過した銘柄は、まだ「候補」です。ここからチャートを開いて、1銘柄ずつ形を確認します。

確認するのは2点だけです。

チャートの形が「出そう」かどうか。 数値条件は通っていても、チャートを見ると方向感がない、レンジの真ん中で動きがない、という銘柄は外します。スクリーナーは「数値」を見ていますが、実際のエントリー判断は「形」で行います。

直近で材料が出ていないか。 決算発表の直前・直後、重大IRが出ている銘柄は、テクニカルの前提が崩れている可能性があります。スクリーニング結果だけ見ると綺麗な押し目に見えても、決算で大きく動く可能性がある銘柄は別の判断軸が必要です。

一次チェックを通過した銘柄を、監視リストに移します。監視リストでの管理方法——昇格条件、除外条件、エントリーまでの「待ち方」——は監視銘柄リストの作り方|スクリーニングからエントリーまでの「待ち方」で詳しく扱っています。


よくあるスクリーニングの失敗パターン

条件を盛りすぎて候補が0になる

移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンド、出来高…全部入れたくなる気持ちはわかります。しかし条件を増やすほど、通過する銘柄は激減します。

スクリーニングで大事なのは「完璧な銘柄を見つけること」ではなく、「明らかに違う銘柄を排除すること」です。最終判断はチャートを見て自分で行う。スクリーナーに判断まで任せようとすると、条件が増えすぎて何も引っかからなくなります。

出来高フィルタなしで板スカ銘柄に当たる

テクニカル条件は完璧なのに、いざ買おうとしたら板がスカスカで約定しない。あるいは約定したけど想定より不利な価格になった。

出来高フィルタは最初に入れてください。どんなに綺麗なチャートでも、取引できなければ意味がありません。

スクリーニング結果をそのままエントリーする

これが最も多い失敗です。スクリーニングで出てきた銘柄を、その日のうちにエントリーしてしまう。

スクリーニングは「今日エントリーする銘柄」を探す作業ではありません。「これから数日〜数週間の間にエントリーできるかもしれない銘柄」を探す作業です。この間に監視リストという工程を挟むことで、タイミングの精度が一段上がります。


まとめ

スクリーニングは銘柄選定の入口です。TradingViewの株式スクリーナーで、流動性・トレンド・押し目・ボラティリティの4条件を順に適用して候補を絞り込む。

ただし、スクリーニングで見つけた銘柄は「候補」であり「答え」ではありません。候補をどう管理してエントリーにつなげるかは、スクリーニングとは別の仕事です。

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この記事を書いた人

投資歴10年。様々なインジケーターや分析サイトを駆使し市場と向き合ってきた

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