デイトレで一番高いコストは、手数料じゃない。
「迷い」と「事故」だ。
だから証券会社は、3つだけ見ればいい。
- コスト(取引コスト+例外コスト)
- 発注(板の前で迷わない導線)
- 安全(誤発注・返済忘れを潰せるか)
この記事は、松井証券をこの3点で“正直”に分解する。
褒めるところは褒める。刺さらないところは刺さらないって言う。
※手数料・仕様は変わるので、要所は公式の最新表記も併記する(2025年12月時点)。
結論:松井が刺さる人/刺さらない人
まず結論。
松井が刺さる人
- 現物より信用(デイトレ)中心で、回転数が多い
- 板の前で迷わず“クリックで出す”導線がほしい
- 「スプレッド・プレミアム空売り・未決済ペナルティ」まで含めてコスト管理できる
松井が刺さらない人
- 長期投資メインで、たまに触る程度
- 「建玉を1つずつ選んで返済」までをスピード注文だけで完結したい
- 無料=完全無料だと思ってしまう(例外コストに弱い)
松井は、雑に言うと「デイトレ向けに尖った会社」。
便利だけど、尖ってるぶん“扱い方”が要る。
一日信用の「0円」──どこまで無料で、どこから課金か
松井の一日信用は、デイトレ界隈で有名な売り文句がある。
- 手数料(デイトレード時)0円
- 金利/貸株料(デイトレード時)0%
ここだけ見ると「完全無料?」ってなる。
でも現場で大事なのは、“例外コスト”。
0円になる条件
松井の公式表記だと、ざっくりこう。
- インターネット経由で新規建 → 当日中に反対売買(=日計り)なら、新規・返済の手数料が無料
- 同じく、デイトレ時は金利/貸株料が0%
- ただし「一日信用」は当日決済が前提で、ルールを外すと一気に課金が入る
この「当日中に反対売買」が心臓。
当たり前だけど、“決済できた日だけ”0円。
ここで一回、表にしておく(混乱防止)。
| 項目 | 日計り(当日決済) | 例外・注意 |
|---|---|---|
| 売買手数料(新規・返済) | 0円 | インターネット経由の日計りが前提 |
| 金利/貸株料 | 0% | デイトレード時の条件。持ち越し前提の取引とは別物 |
| プレミアム空売り料 | 発生する(銘柄別) | 日々変動。実質コストになりやすい |
| 任意決済手数料 | 発生しない | 未決済だと 3,575円/注文 が発生 |
| ボックスレート | 適用されない | 一日信用は別体系(現物のボックスレートとは別) |
デイトレでも残るコスト(ここが落とし穴)
0円の外側にあるのは、主にこの3つ。
1) 未決済のまま引けると「任意決済」=3,575円/注文
新規建した当日の大引けまでに反対売買できない(または15:45までに現引・現渡できない)と、松井側の任意で決済される。
そのとき 1注文あたり 3,250円(税込3,575円) が発生する。
これ、精神ダメージもでかい。
負けた上に「追い課金」される感じになる。
2) プレミアム空売りは“別財布”(日々変動)
一日信用の目玉が「プレミアム空売り」。
新興銘柄など、制度・無期限では売りにくい銘柄でも空売りできるやつ。
ただし当然タダじゃない。プレミアム空売り料がかかる。
しかも日々変動。持ち越すと「建株数×プレミアム空売り料×持ち越し日数(受渡ベース)」で積み上がる。
デイトレでも、銘柄によってはこのコストが“実質スプレッド”みたいに効いてくる。
「勝ったのに増えてない」現象は、だいたいここ。
3) 「信用管理費」を一日信用のコストに入れると、逆に誤解する
ここ、つまずきやすいから整理する。
信用取引の諸経費の中に「信用管理費」がある。
ただ松井の説明では、信用管理費は建日から起算した1か月ごとの応当日を超えるたび発生して、決済時に精算される仕組み。
つまり、日計り(当日決済)のデイトレでは基本的に出てこない。
(そもそも一日信用は持ち越し前提じゃない)
初心者が「信用管理費=毎回かかる手数料」だと思うと、判断を誤る。
見るべきはまず、プレミアム空売り料と、未決済ペナルティ。
ただし制度・無期限信用で長期に建てる人は、信用管理費・名義書換料(基準日またぎ)なども“別枠で”効いてくる。
一日信用のレビュー記事でも、ここだけは区別しておくと事故が減る。
ついでに:現物(ボックスレート)は25歳以下が無料(ただし一日信用は別体系)
デイトレ記事だけど、これも誤解が多いので一行で。
- 松井の現物は「1日の約定代金で決まるボックスレート」
- 25歳以下は、26歳になる月の最終営業日取引分までボックスレート手数料が無料
- ただし 一日信用取引は別の手数料体系(ボックスレートは適用されない)
「25歳以下無料=一日信用も無料?」って混ざりがち。
ここは別物として分けて覚えるのが安全。
ネットストック・ハイスピード:強いところ/癖があるところ
松井の評価が割れるのは、だいたいここ。
「ツールが刺さる人には刺さりまくる」タイプ。
強いところ:板発注が速い・情報が一画面に集まる
ネットストック・ハイスピードの武器はシンプル。
- 気配板をクリックして発注できる「スピード注文」
- 発注・建玉状況をリアルタイムで追える自動更新
- 値動きを監視できるマーケットウォッチャー
- 信用残などを当日中に確認できる導線(売買内訳)
板を見て、押して、出す。
この“短距離走”が強い。
癖:スピード注文では建玉指定返済できない
ここは人によって致命傷。
松井の公式Q&Aでも明記されていて、
スピード注文画面では、信用返済のとき建玉を指定できない。
指定したいなら、別の「信用返済注文(例:[6224]信用返済注文)」画面からやる必要がある。
スピード注文の返済は、設定している「返済順序ルール」に従う。
これを知らないと、こうなる。
- 「利益出てる建玉だけ先に返したい」
→ 返済順序の設定次第で、違う建玉が先に消える
→ 想定とズレて“取り返し”が起きる
だから松井は、デイトレで使うなら最初に
返済順序ルールと建玉の分割運用を設計しておくのが前提。
失敗事例:1分足で飛び乗って「0円なのに負ける」典型
ありがちな事故を、あえて言語化する。
(こういうのを先に知ってるだけで、授業料が減る)
たとえば、寄り直後。
- 板が薄い新興銘柄
- 1分足で上に飛びそうに見える
- スピード注文で成行に近いノリでぶつける
すると起きるのはだいたいこれ。
1) 思ったよりスプレッドが広い(=入った瞬間から含み損)
2) 一瞬伸びても、板が薄いから逃げるのが遅れる
3) 返済でモタつく(建玉指定できない/確認画面で一拍遅れる)
4) 結果、トントンで逃げたつもりが「−○ティック」
5) それを取り返そうとして、次のエントリーが雑になる
これ、手数料0円でも普通に負ける。
負けの原因は「コスト」じゃなくて、スピードと迷いの差。
対策は単純で、
「板が薄い時間帯」「スプレッドが広い銘柄」を避けるか、
最初からVWAPや出来高が厚い価格帯を意識して“場所”で勝負する。
他社と比べた松井の立ち位置(SBI/楽天/マネックス)
雑にまとめると、こんな感じ。
- 松井:一日信用×ツールでデイトレに寄せてる。速い。でもルール前提。
- SBI:商品・機能が多く、口座連携も強い。万能型。
- 楽天:楽天経済圏ユーザーなら強い。ツールは好みが分かれる。
- マネックス:情報系や分析が強い印象。日本株デイトレ特化というより“情報×総合”。
結局は「自分の手法」と「ミスの出方」で決めた方がいい。
デイトレの勝敗は、スペック表より“事故率”で決まる。
デイトレ用:松井で事故を減らすおすすめ設定
ツールの設定は、勝率より先に生存率を上げる。
1) 返済順序ルールは先に決める
スピード注文で建玉指定返済ができない以上、
返済順序ルールは“デフォルトの性格”になる。
- 同一銘柄を分割で持つなら、どの順番で返すと事故が減るか
- 利確と損切りが混ざったときに、どっちが先に消えると嬉しいか
ここは、手法ごとに正解が違う。
でも「決めてない」は、だいたい事故る。
2) 最初は確認画面を切らない
ハイスピードは、設定次第で確認画面を省略できる。
でも最初から切ると、誤発注が“音もなく”起きる。
- 発注数量
- 売買区分
- 注文値段(特に指値の桁)
この3つだけは、体に入るまで守った方がいい。
3) “15:30〜引け”の扱いをルール化する
一日信用は「当日決済」が前提。
引け付近のゴタゴタで未決済になると、任意決済手数料が刺さる。
だから、
「何時になったら絶対に逃げる」
この撤退ラインを、チャートじゃなく“時計”で持っておく。
1分チェックリスト:エントリー前にこれだけ見る
最後に、実戦用の小さいチェックリスト。
- 今日の取引は一日信用?(持ち越し前提になってない?)
- その銘柄、プレミアム空売り銘柄?(コスト確認した?)
- 板は厚い?スプレッドは広がってない?
- 返済順序ルール、意図通り?
- 逃げる時間(時計)を決めた?
これだけで、体感の事故はかなり減る。
まとめ:松井は「速いけど、ルール前提」の会社
松井の一日信用は、デイトレの“回転”には確かに効く。
手数料0円・金利/貸株料0%は強い。
でも、勝ち負けを分けるのはそこじゃない。
- 未決済ペナルティ(任意決済3,575円)を踏まない設計
- プレミアム空売り料を含めた期待値管理
- スピード注文の癖(建玉指定返済不可)を前提にした運用
この3つを飲み込める人には、松井はかなり良い。
逆に「雑に触る」と、尖ってるぶん痛い。

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