出来高フットプリント入門|価格帯ごとの需給バランスを読む方法

通常の出来高バーでは、足全体で何株取引されたかが分かります。フットプリントは、その情報を価格帯ごとに分けて観察するチャートです。

この記事ではTradingViewを例に、デルタ、累積デルタ、インバランスの違いを整理します。数字から読み取れる範囲を押さえると、参加者の正体や将来の値動きまで分かったつもりになることを避けられます。

目次

価格帯ごとの出来高を見る

フットプリントでは、どの価格帯に取引が集まったかを確認できます。ただし、取引が成立するたびに買い手と売り手の両方がいます。「買い出来高が多い」という表現は、買い手の人数が売り手より多いという意味ではありません。

TradingViewの買い・売り表示は、下位足の値動きに応じた出来高の分類です。Bid・Askで成立した取引を直接識別する方式とは異なります。ここでのBuy/Sellは、その分類名として読みます。TradingViewの計算方法

Bidは買い気配、Askは売り気配です。別のフットプリント製品を使う場合も、約定データの方式、分類方法、収録市場を確認してから比較してください。

通常の出来高との関係は出来高分析の基本①、価格と出来高を読む補助的な観点は出来高分析の基本②でも扱っています。

デルタと累積デルタを分ける

デルタ

デルタは買い側に分類された出来高から、売り側に分類された出来高を引いた差です。各価格帯のデルタを合計すると、その足全体のデルタになります。

例えば3つの価格帯のデルタが+300株、−100株、+200株なら、その足のデルタは+400株です。これは保有株数の増加や、新しく流入した資金を表す数字ではありません。出来高デルタの説明

累積デルタ

累積デルタは、各足のデルタを決めた開始点から時系列で足し合わせたものです。価格帯を合計する方向と、時間をまたいで積み上げる方向を区別しましょう。

比較するときは開始点とリセット条件を揃えます。TradingViewのCumulative Volume Delta指標はアンカー期間が変わると累積をリセットします。フットプリントと別指標のデルタは、使用データや時間足が違えば一致しない場合があります。累積デルタの仕様

価格の上昇とデルタの低下が重なる場面は、両者の不一致として記録できます。それだけで上昇が偽物になったり、反転が確定したりするわけではありません。

インバランスとは

TradingViewでは、隣接する価格帯の買い側と売り側を斜めに比較し、設定した倍率に達する偏りを表示します。同じ価格帯の左右の差であるデルタとは見方が異なります。

偏りが出た価格帯は、その後に価格が戻った際の観察候補です。反発するか、通過するかを記録します。マーカーだけでは、注文した人の規模、建値、買い支える意思までは分かりません。

日本株では呼値と行幅も確認する

東証の普通株では、銘柄の区分と株価によって呼値が変わります。2026年9月11日時点でTOPIX500構成銘柄の呼値は、1,000円以下0.1円、1,000円超〜3,000円以下0.5円、3,000円超〜10,000円以下1円です。それ以外の普通株は3,000円以下1円、3,000円超〜5,000円以下5円、5,000円超〜10,000円以下10円です。JPXの呼値表

細かい価格を1行ずつ表示すると数字が分散するため、複数ティックを1行にまとめて観察する方法があります。ただし、行幅を広げて見つけた偏りが、売買の優位性を意味するとは限りません。

フットプリントで観察できること

観察内容分けて考えること
特定の価格帯で出来高が増えた一人の大口による取引か、多くの取引の合計かは特定できない
価格とデルタの方向が違う計算条件を確認し、次の値動きも観察する
偏りの出た水準で価格が止まった参加者の意思や反転の確定と結びつけない
最大出来高の価格帯が移動した最多人数の合意価格が変わったとは言い換えない

POCは最大出来高の価格帯です。足ごとのPOCと、複数日にまたがる出来高プロファイルのPOCでは集計範囲が異なります。POCの定義

TPOを組み合わせるとき

TPOは、一定の時間区間ごとに価格が訪れた帯を記録します。フットプリントの出来高量とは異なる視点です。TPOのPOCと出来高のPOCを同じ指標として扱わないようにしましょう。TPOの仕様

併用する場合は、対象期間と価格帯の刻みを揃え、時間的に滞在が多い帯と、出来高が集まった帯の位置関係を確認します。両者が重なるだけで支持線やブレイクの成功率が保証されるわけではありません。

水平線を引く考え方はサポート・レジスタンスの引き方、分析の順番は出来高・検証のトレード環境テンプレで整理しています。

検証では当時の表示を残す

設定や利用する下位足データが変わると、過去の表示が変わることがあります。観察日時と設定、当時の画面を残して、後日の表示だけで判断できた範囲を広げないようにしてください。

まとめ

フットプリントは出来高を価格帯ごとに整理する道具です。デルタは分類量の差、累積デルタはその時系列の積み上げ。参加者の人数や意図を直接読むものではありません。

次はTradingViewの設定ガイドで表示条件を整え、5つの観察パターンや出来高の偏りを観察する手順と限界へ進んでみてください。

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この記事を書いた人

投資歴約10年。様々なインジケーターや分析サイトを駆使し市場と向き合ってきた

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