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ボリュームフットプリントの使い方|板情報で機関投資家の動きを読む

出来高が1000株だったとして、それが「買い800 vs 売り200」なのか「買い200 vs 売り800」なのか、知りたくないですか?

普通の出来高チャートでは、総量しかわからない。
でもボリュームフットプリントを使えば、その内訳が見える。
どの価格帯で買いが強かったのか、売りが強かったのか、一目瞭然になる。

正直、これを知ったときは衝撃でした。
今まで見えていなかったものが見えるようになる感覚。
ローソク足だけ見ていた頃には戻れなくなりました。

ただ、最初はとっつきにくいのも事実です。
情報量が多いし、見慣れないチャートだし。
この記事では、私が実際に使っている部分を中心に、なるべくシンプルに説明していきます。

目次

ボリュームフットプリントって何?

各価格帯での買い・売りの内訳を視覚化するものです。

仕組みとしては、取引所の約定データ(歩み値)を使っています。
ビッド(買い注文)に約定したのか、アスク(売り注文)に約定したのかを追跡して、「この価格では買いが何株、売りが何株」という情報を出してくれる。

普通の出来高チャートとの違い

普通の出来高チャートは「その時間にどれだけ取引されたか」という総量だけ。
棒グラフがピョコピョコ出ているやつですね。

でも、総量だけだと「買いと売りのどっちが強かったか」がわからない。
同じ1万株の出来高でも、買いが圧倒的に多かったのか、売りが圧倒的に多かったのか、均衡していたのか、全然違うわけです。
ボリュームフットプリントはそこを見える化してくれる。

どうやって表示するか

TradingViewNinjaTraderSierra Chartなどで表示できます。
ただし、歩み値データが必要なので、対応している市場やブローカーが限られることがある。

私はTradingViewを使っていますが、有料プランじゃないと使えなかったり、銘柄によってはデータがなかったりします。
自分の使っている環境で使えるかどうか、先に確認しておいたほうがいいです。

覚えておくべき3つの指標

ボリュームフットプリントにはいろんな見方がありますが、私が実際に使っているのは主に3つ。
デルタ、累積デルタ、インバランスです。

デルタ(Delta

買い出来高から売り出来高を引いた値。
これが一番基本です。

プラスなら買いが優勢、マイナスなら売りが優勢。
単純な話です。

私がデルタで見ているのは、「どの価格帯で大きなデルタが出ているか」。
大きなプラスのデルタが出た価格帯は、そこで強い買い支えがあったということ。
その後も、その価格帯がサポートとして機能することが多い。

逆に大きなマイナスのデルタが出た価格帯は、売り圧力が強かったところ。
レジスタンスになりやすい。
これを知っているだけで、「どこで反発しそうか」「どこで止まりそうか」の見当がつくようになります。

累積デルタ(Cumulative Delta

デルタを時系列で積み上げたもの。
全体として買いが優勢なのか、売りが優勢なのかがわかります。

これ単体で見てもまあまあ参考になりますが、私が一番重視しているのは「価格との乖離」です。

ダイバージェンス(乖離)が超重要

価格が上がっているのに、累積デルタが下がっている。
これは「見た目は上昇トレンドだけど、実は売りが蓄積されている」状態。
危険信号です。

逆に、価格が下がっているのに累積デルタが上がっている。
これは「見た目は下降トレンドだけど、実は買いが入っている」状態。
反転の予兆かもしれない。

このダイバージェンスを見つけられるようになってから、「なんかおかしいな」という違和感に気づけるようになりました。
ローソク足だけ見ていたら、上昇トレンドだと思って買いに行って高値掴みしていたような場面で、「ちょっと待てよ」と踏みとどまれる。

インバランス(Imbalance

買いまたは売りが極端に偏っている状態。
一方的な値動きがあったことを示します。

たとえば、急上昇した価格帯で買いばかりで売りがほとんどなかった場合、そこに「インバランス」が形成される。

「インバランスは後で埋められる」という理論があります。
窓埋めと似た考え方で、一方的に動いた価格帯は、後で調整が入って戻ってくることが多い、という話。

ただ、正直これはあまり当てにしていません。
埋められることもあるし、埋められないこともある。
私は「インバランスがある=その値動きは実体を伴っている」くらいの認識で使っています。
インバランスなしで急落したら「見せかけの下げかも」と疑う、という感じ。

実践での使い方

ここからは、私が実際にどう使っているかを説明します。

大きなデルタが出た価格帯を意識する

一番シンプルで、一番よく使う方法。
大きなプラスのデルタが出た価格帯に価格が戻ってきたら、反発を狙う。

「さっきここで大量の買いが入った」という事実があるわけで、同じ価格帯に来たらまた買い支えが入る可能性がある。
もちろん絶対ではないですが、何の根拠もなくエントリーするよりはマシです。

ダイバージェンスでトレンド転換を察知する

さっき説明した累積デルタと価格の乖離。
これが出ていたら警戒モードに入ります。

上昇トレンドで買いポジションを持っているときに、累積デルタが下がり始めたら「そろそろ利確かな」と考える。
逆に、下降トレンドで売りポジションを持っているときに、累積デルタが上がり始めたら「反転近いかも」と警戒する。

トレンドの「質」を確認する

価格が上昇しているときに、デルタもプラスで増えている。
これは「本物の上昇」。
買いが牽引しているから、トレンドに乗っても大丈夫。

価格が上昇しているのに、デルタがマイナス。
これは「怪しい上昇」。売られながら上がっているので、反転リスクがある。
こういうときは新規の買いは控える。

この「トレンドの質」を確認するだけでも、無駄なエントリーがかなり減りました。

注意点

データが手に入らないことがある

ボリュームフットプリントには歩み値データが必要です。
対応しているツールや市場が限られるし、有料だったりする。
自分の環境で使えるかどうか、先に確認してください。

情報量が多すぎる

最初は本当に「何を見ればいいかわからない」状態になります。
私もそうでした。

おすすめは、最初はデルタの色分けだけ見ること。
緑が多い価格帯は買いが強い、赤が多い価格帯は売りが強い、これだけ。
慣れてきたら累積デルタのダイバージェンスを見る、という順番で覚えていくといいと思います。

「大口の動きが見える」は言い過ぎ

よく「機関投資家の動きがわかる」と言われますが、これはちょっと誇張だと思います。
確かに大きなデルタが出れば「大口が参戦したかも」とは思えますが、本当に機関投資家なのか、複数の個人投資家の合計なのか、区別はつきません。
過度な期待は禁物です。

まとめ

ボリュームフットプリントは、出来高の内訳を可視化することで、普通のチャートでは見えない情報を見せてくれるツールです。

最初は情報量の多さに圧倒されますが、デルタの色分けから始めて、累積デルタのダイバージェンスを見られるようになれば、かなり使えるようになります。

私の場合、ボリュームフットプリントを使い始めてから「トレンドの質」を意識するようになりました。
ローソク足だけでは見えなかった「本物の上昇か、見せかけの上昇か」がわかるようになる。
それだけでも、学ぶ価値はあると思います。

ただ、万能ではないし、データの入手にハードルがあることも多い。
自分の環境で使えるかどうか確認した上で、試してみてください。

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この記事を書いた人

投資歴10年。様々なインジケーターや分析サイトを駆使し市場と向き合ってきた

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