移動平均線には、実は10種類以上の計算方法があることをご存知でしょうか。
SMA、EMA、WMA、SMMA…
チャートツールを開くと、こんなアルファベットの羅列を見たことがあるかもしれません。
結局どれを使えばいいの?
そう思った方も多いはずです。
答えはシンプルで、何を重視するかで選ぶ移動平均線が変わります。
- トレンドの転換を早く捉えたいのか
- ダマシを減らして安定させたいのか
- その両方をバランスよく取りたいのか
本記事では、まず基本となる4種類の移動平均線(SMA・EMA・WMA・SMMA)を解説します。
それぞれの「計算の考え方」と「実際のチャートでどう動くか」を見比べながら、自分のトレードスタイルに合った選び方を探っていきましょう。
【この記事でわかること】
・移動平均線に「種類」がある理由
・SMA・EMA・WMA・SMMAの計算方法と特徴
・各移動平均線のメリット・デメリット
・トレードスタイル別の選び方
SMA(単純移動平均線)
SMA(Simple Moving Average)は、最もシンプルで歴史のある移動平均線です。
多くのトレーダーが最初に学ぶ指標であり、今でも世界中で広く使われています。
計算方法
SMAの計算は非常にシンプルです。
指定した期間の終値を、すべて同じ重みで平均します。
例えば、5日SMAなら:
(1日目 + 2日目 + 3日目 + 4日目 + 5日目)÷ 5
5日前の価格も、昨日の価格も、同じ「1」として扱います。
SMAの特徴
・反応が遅い すべての価格を均等に扱うため、直近の動きに対する反応が鈍くなります。
トレンド転換のサインが出るのが遅れがちです。
・ノイズに強い 反応が遅い分、一時的な価格変動(ノイズ)に振り回されにくいという利点があります。
ダマシが少なく、安定した判断ができます。
・多くのトレーダーが見ている 25日線、75日線、200日線などは、世界中のトレーダーが意識しています。
「みんなが見ている」ということ自体が、サポート・レジスタンスとして機能する理由になります。
SMAが向いている場面
・中長期のトレンド確認
・サポート・レジスタンスの目安
・他のトレーダーと同じ視点を持ちたいとき
EMA(指数移動平均線)
EMA(Exponential Moving Average)は、SMAの「反応の遅さ」を改善するために生まれた移動平均線です。
直近の価格により大きな重みを置くことで、トレンドの変化を素早く捉えることができます。
計算方法
EMAは、直近の価格に「指数的」に重みをつけて計算します。
簡単に言うと:
・昨日の価格は重要
・一昨日の価格はそこそこ重要
・1週間前の価格は少しだけ重要
・1ヶ月前の価格はほぼ影響しない
このように、新しいデータほど強く反映され、古いデータは徐々に影響が薄れていきます。
EMAの特徴
・反応が早い 直近の価格変動に敏感に反応するため、トレンド転換のサインをSMAより早く捉えることができます。 スイングトレードでは、この「早さ」が武器になります。
・ダマシが増える可能性 反応が早い分、一時的なノイズにも反応してしまうことがあります。 「転換サインだ!」と思ったら、すぐ元に戻る…というケースも。
・短期トレードとの相性が良い 数日〜数週間のスイングトレードでは、SMAよりEMAの方がエントリータイミングを掴みやすいことが多いです。
SMAとEMAの違い
同じ「25日」で設定しても、EMAの方がチャートに近い位置を動きます。
上昇トレンドでは、EMAがSMAの上に位置し、 下降トレンドでは、EMAがSMAの下に位置します。
この「乖離」自体が、トレンドの強さを測る目安にもなります。
EMAが向いている場面
・トレンド転換を早く捉えたいとき
・短期〜中期のスイングトレード
・エントリータイミングの精度を上げたいとき
WMA(加重移動平均線)
WMA(Weighted Moving Average)は、EMAと同じく「直近の価格を重視する」という考え方を持つ移動平均線です。
ただし、重みの付け方がEMAとは異なります。
計算方法
WMAは、直近の価格に「線形」で重みをつけて計算します。
例えば、5日WMAなら:
・5日目(今日)の価格 × 5 ・4日目の価格 × 4
・3日目の価格 × 3
・2日目の価格 × 2
・1日目の価格 × 1
これを合計して、重みの合計(5+4+3+2+1=15)で割ります。
EMAが「指数的」に重みを減らすのに対し、WMAは「一定の割合」で重みを減らしていきます。
WMAの特徴
・EMAより素直な動き 重みの減り方が一定なので、価格への追従が比較的わかりやすくなっています。
「直近をどれだけ重視しているか」が直感的に理解しやすい構造です。
・反応速度はEMAと同程度 直近重視という点ではEMAと似ており、SMAより早くトレンド転換を捉えます。
ただし、EMAとの差は微妙で、チャート上ではほぼ重なって見えることも多いです。
・使用者が少ない SMAやEMAと比べると、WMAを使っているトレーダーは少数派です。
「みんなが見ている線」としての機能はあまり期待できません。
EMAとWMAの違い
正直なところ、チャート上での差はわずかです。
強いて言えば:
・EMAは古いデータの影響が「緩やかに」残り続ける
・WMAは古いデータが「きっぱりと」影響を失う
この微妙な差が、相場の急変時に若干の違いを生むことがあります。
WMAが向いている場面
・EMAの動きに違和感を感じるとき
・重みの計算をシンプルに理解したいとき
・独自の分析スタイルを構築したいとき
SMMA(平滑移動平均線)
SMMA(Smoothed Moving Average)は、EMAをさらに滑らかにした移動平均線です。
MT4やMT5を使っている方なら、一度は目にしたことがあるかもしれません。
計算方法
SMMAは、EMAと似た「指数的な重み付け」を行いますが、平滑化の度合いがより強くなっています。
簡単に言うと:
・EMAよりも、過去のデータの影響が長く残る
・新しいデータへの反応が、EMAより穏やか
同じ「25日」で設定した場合、SMMAはEMAよりも滑らかで、ゆったりとした曲線を描きます。
SMMAの特徴
・非常に滑らか 名前の通り「Smoothed(平滑化された)」動きをします。
ノイズに強く、トレンドの大きな流れを捉えるのに適しています。
・反応はEMAより遅い 滑らかさと引き換えに、トレンド転換への反応はEMAより遅くなります。
「早く動きたい」場面では、もどかしさを感じることも。
・MT4/MT5での標準搭載 海外FXや一部の証券会社で使われるMT4/MT5では、移動平均線の選択肢としてSMMAが用意されています。
国内証券のツールでは見かけないことも多いです。
EMAとSMMAの違い
どちらも「直近重視」の移動平均線ですが:
・EMA → 反応重視。トレンド転換を早めに捉えたい
・SMMA → 安定重視。ノイズを排除して大きな流れを見たい
同じ期間で設定すると、SMMAの方がより「遅く」「滑らか」に動きます。
SMMAが向いている場面
・ノイズを排除して、大きなトレンドだけを見たいとき
・MT4/MT5をメインで使っているとき
・EMAでダマシが多いと感じるとき
基本編まとめ:4種類の移動平均線を比較
| 種類 | 反応速度 | 滑らかさ | 古いデータの影響 | 使用者の多さ |
|---|---|---|---|---|
| SMA | 遅い | 普通 | 均等に残る | 非常に多い |
| EMA | 早い | 普通 | 緩やかに残る | 多い |
| WMA | 早い | 普通 | きっぱり消える | 通少ない |
| SMMA | やや遅い | 非常に滑らか | 長く残る | MT4/MT5ユーザーに多い |
どれが「正解」というわけではありません。
大切なのは、自分のトレードスタイルに合った移動平均線を選ぶこと。
・トレンド転換を早く捉えたい → EMA
・安定感を重視したい → SMA、SMMA
・独自のスタイルを追求したい → WMA
まずはSMAとEMAを使い比べてみて、自分の感覚に合う方を見つけるのがおすすめです。
次のステップへ
本記事では、基本となる4種類の移動平均線を解説しました。
応用編では、さらに進化した移動平均線(HMA・DEMA・TEMA・LSMA・VWMA・ALMA)を紹介します。
「もっと精度を上げたい」「他のトレーダーと差をつけたい」という方は、ぜひ応用編もご覧ください。


コメント