チャート分析がどれだけ上手くても、注文が雑だと負ける。
なぜなら、注文はトレードの“実行力”そのものだから。
エントリーが遅れたり、損切りが飛んだり、利確が刺さらなかったり。
その事故の多くは「注文の設計」で減らせる。
この記事でわかること
- 成行・指値・逆指値の違い(メリット/デメリット)
- OCO/IFD/IFOの使い分け
- “事故る注文”の典型パターン
- 実践テンプレ(ブレイク用/押し目用)
まずは3つ:成行・指値・逆指値
成行(なりゆき)
今すぐ約定させる注文。
- メリット:確実に入れる(出られる)
- デメリット:スリッページ(想定よりズレる)が起きる
「ここを抜けたら入る」みたいな瞬発力が必要な場面では有効。
逆に、薄い銘柄や寄り付きは滑りやすい。
成行は“刃物”と思って扱った方がいい。
指値(さしね)
この価格なら買う/売る注文。
- メリット:価格をコントロールできる
- デメリット:刺さらない(機会損失)
押し目買い・戻り売り、利確には相性がいい。
ただし、動きが速いと置いていかれる。
逆指値(ぎゃくさしね)
指定価格に到達したら発動する注文。
使いどころは2つ。
- 損切り(ストップ)
- ブレイクアウトのエントリー(ストップエントリー)
損切りで逆指値を使うのは、もはや“保険”。
「損切りは手動でできる」は、できない日が来る。
損切りの考え方はここが土台。
→ 損切りルールの構築法|市場基準で決める実践的アプローチ
OCO / IFD / IFO(注文の“連携”)
ここを理解すると、トレードが一段ラクになる。
OCO(One Cancels the Other)
利確と損切りを同時に置いて、どちらかが刺さったらもう片方が消える。
- 利確:指値
- 損切り:逆指値
「置いたら寝れる」注文の基本形。
IFD(If Done)
1つ目が約定したら、2つ目が出る。
例:
- ① 押し目で指値買い
- ② 約定したら損切り逆指値を出す
“入った瞬間に守る”が自動化できる。
IFO(If Done + OCO)
IFDに、利確(指値)もセットした形。
例:
- ① ブレイクで逆指値買い(エントリー)
- ② 約定したら「利確指値 + 損切り逆指値(OCO)」が出る
ブレイク狙いの鉄板。
事故る注文、だいたいこれ
- 損切りを指値で出してしまう
→ どんどん下がる時、刺さらずに死亡。 - 利確だけ置いて、損切りを置かない
→ 希望的観測で耐えて崩壊。 - OCOの片方だけ残って、意図せず約定
→ 週末に残して月曜の寄りで変なところで刺さる。
注文は「出したら終わり」じゃなく、“残ってないか”の確認がセット。
実践テンプレ:これで迷いが減る
テンプレ①:ブレイクアウト(順張り)
1) レジ上に逆指値でエントリー
2) 約定したらIFOで
- 利確:次のレジ手前(指値)
- 損切り:直近安値割れ(逆指値)
ブレイクと逆張りの使い分けはこれが前提。
→ ブレイクアウト vs 逆張り|価格帯別出来高で見極める局面別戦略
テンプレ②:押し目買い(逆張り寄りの順張り)
1) 押し目のサポ帯に指値
2) 約定したらOCOで
- 利確:高値付近(指値)
- 損切り:サポ帯の外(逆指値)
押し目の“どこで入るか”は、結局タイミング論。
→ エントリータイミングの考え方
注文設計は、資金管理とセット
同じ銘柄でも、
- 損切り幅が広い
→ ロットを落とす - 損切り幅が狭い
→ ロットを上げられる(ただし滑り注意)
これをしないと、負け方がバラバラになって資金が削れる。
ポジションサイズの考え方はここ。
→ ポジションサイズの決定方法|資金管理で生き残るトレーダーになる
損益を“R”で見ると注文が整う。
→ 利確と損切りのバランス|R倍数という考え方
注文は、相場に置く“約束”だ。
約束が雑だと、相場は平気で裏切ってくる。
だから先に、こちらから整えておく。

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