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出来高分析の基本|価格と出来高の関係

チャートを見るとき、多くの人は価格の動きばかり追いかけます。

ローソク足が上がった、下がった。移動平均線を超えた、割った。
それだけを見て、売買を判断している人は少なくありません。

でも、価格の下に表示されている棒グラフ。
あれをちゃんと見ていますか。

出来高です。

出来高は軽視されがちです。
初心者向けの本でも、価格チャートの読み方は詳しく解説されているのに、出来高についてはさらっと触れる程度で終わっていることが多い。

でも、使いようによっては強力な武器になり得る。

価格は「結果」でしかありません。
出来高は、その結果を生み出した「エネルギー」です。

この記事では、出来高分析の基本的な考え方と、価格と出来高の関係について書いていきます。


目次

出来高とは何か

出来高は、一定期間に売買が成立した株数のことです。

日足チャートなら、その日に取引された株数。
週足なら、その週の合計。
単純な数字ですが、そこには市場参加者の「熱量」が反映されています。

出来高が多いということは、多くの人がその銘柄に注目して売買しているということ。
出来高が少なければ、関心が薄いか、様子見している人が多いということ。

価格が動いたとき、出来高がどうだったかを見ることで、その動きの「信頼性」がわかります。


出来高を伴う上昇と、伴わない上昇

株価が上がったとき、出来高も増えているかどうか。
これが重要です。

出来高を伴う上昇は、多くの買い手が参入してきた証拠。
新しいお金が流れ込んでいる。
このような上昇は、続きやすい傾向があります。

一方、出来高を伴わない上昇は、注意が必要です。

買い手が少ないのに価格だけが上がっている。
これは、売り手がたまたまいなかっただけか、少数の参加者だけで価格が動いているか、どちらかです。
こういう上昇は、脆い。
ちょっとした売りが出ただけで、あっさり崩れることがあります。

「出来高を伴わない上昇は信用しない」

これは、筆者が長年のトレードで身につけた習慣の一つです。


出来高を伴う下落と、伴わない下落

下落の場合も同じです。

出来高を伴う下落は、多くの売り手が出てきた証拠。
投げ売りや、機関投資家のポジション解消かもしれない。
こういう下落は、まだ続く可能性がある。

出来高を伴わない下落は、意味合いが違います。

売り手は少ないけど、買い手も現れない。
だから、じりじりと下がっている。
こういう下落は、何かきっかけがあれば反転する可能性もあるし、そのまま放置されて長期低迷することもある。

下落局面で出来高が急増したとき、それが「セリングクライマックス」なのか「まだ序章」なのかを見極めるのは難しい。
でも、出来高の変化を見ていれば、少なくとも「何かが起きている」ことには気づけます。


出来高と価格の乖離

価格と出来高の動きが一致しないとき、それはシグナルになり得ます。

たとえば、価格は高値を更新しているのに、出来高は前回の高値更新時より減っている。
これは「ダイバージェンス」と呼ばれる現象で、上昇の勢いが弱まっているサインかもしれません。

買い手の熱量が落ちてきている。新規の資金流入が減っている。
価格だけが惰性で上がっている。

こういう状況では、そろそろ天井が近いかもしれない、と警戒します。

逆に、価格は安値を更新しているのに、出来高が減っている場合。売り手の勢いが弱まっている可能性がある。
底打ちが近いかもしれない。

価格だけを見ていると、こういうサインに気づけません。


スクリーニング条件としての出来高

出来高は、銘柄選定のフィルターとしても使えます。

出来高が極端に少ない銘柄は、そもそも避けた方がいい。
流動性が低いと、買いたいときに買えない、売りたいときに売れない、という事態が起きます。
スプレッドも広がりやすい。

筆者は、スクリーニングの段階で一定以上の出来高がある銘柄に絞っています。
どんなに良いチャート形状でも、出来高が少なすぎる銘柄には手を出しません。

また、「出来高が急増した銘柄」をスクリーニングで抽出するのも有効です。
普段の何倍もの出来高が発生しているということは、何かが起きている証拠。
好材料かもしれないし、悪材料かもしれない。
どちらにせよ、注目に値します。


出来高分析の限界

出来高分析にも限界はあります。

まず、出来高だけでは売りと買いの区別がつかない。
100万株の出来高があったとして、それが買いの勢いなのか売りの勢いなのかは、出来高だけではわかりません。

これを補うのが、ボリュームフットプリントやTPOといった、より詳細な分析手法です。
出来高をさらに深掘りしたい人は、そちらに進むことになります。

また、出来高は銘柄によって基準が違う。
1日100万株が普通の銘柄もあれば、1万株でも多い銘柄もある。
絶対値ではなく、その銘柄の「普段と比べてどうか」で判断する必要があります。


価格は「何が起きたか」を教えてくれる。

出来高は「どれだけの熱量で起きたか」を教えてくれる。

この二つを組み合わせて初めて、チャートの本当の意味が見えてきます。

価格だけを追いかけて、出来高を無視しているトレーダーは多い。
だからこそ、出来高を見る習慣をつけるだけで、一歩先に出られる。

——軽視されがちなものの中に、武器は隠れています。

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この記事を書いた人

投資歴10年。様々なインジケーターや分析サイトを駆使し市場と向き合ってきた

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