株式市場には、セクターという区分がある。
銀行、自動車、医薬品、不動産、ハイテク…。同じセクターに属する銘柄は、似たような動きをすることが多い。
業界全体に影響する材料が出れば、セクター全体が動く。
そして、資金は常にどこかのセクターに流れている。
今どこに資金が集まっているのか。
それを読むことが、セクターローテーションの考え方だ。
景気サイクルとセクター
教科書的には、景気のサイクルによって強いセクターが変わると言われている。
景気回復期には、景気敏感株が買われやすい。
素材、工業、一般消費財。
景気が良くなると需要が増えるセクターだ。
景気拡大期には、金融やハイテクが強くなりやすい。
金利上昇で銀行の収益が上がり、企業の設備投資でハイテクが潤う。
景気後退期には、ディフェンシブ銘柄に資金が流れる。
公益、ヘルスケア、生活必需品。
景気が悪くても需要が落ちにくいセクターだ。
これがセクターローテーションの基本的な理論。
景気の波に合わせて、資金が回っていくという考え方だ。
理論より先に動きがある
ただ、筆者はこの理論を意識してトレードしているわけではない。
実際にやっているのは、個別銘柄の動きを見ること。
同じセクターの銘柄が揃って上がっていたら、そのセクターに資金が流入していると判断する。
景気回復だからこのセクターを買おう、という順番ではない。
銘柄の動きを見ていたら、結果的に景気回復期に強いセクターが上がっていた——そういう順番だ。
理論は後付けで理解できる。
でも、実際のトレードでは、目の前の値動きが先にある。
資金の流れを見つける方法
資金が流入しているセクターを見つけるには、いくつかの方法がある。
一つは、個別銘柄の動きを観察すること。
普段見ている銘柄の中で、同じセクターの銘柄が揃って強いと感じたら、そのセクターに注目する。
もう一つは、スクリーニング。
上昇率や出来高でスクリーニングをかけると、今どのセクターの銘柄が多く引っかかるかが見えてくる。
特定のセクターに偏っていたら、そこに資金が流れている可能性がある。
出来高も大事だ。
株価が上がっていても、出来高が伴っていなければ本物の資金流入とは言えない。
価格と出来高、両方を見る。
セクター内の銘柄は似た動きをする
同じセクターに属する銘柄は、似たような動きをすることが多い。
たとえば、半導体セクター。
業界全体に影響するニュースが出れば、半導体関連銘柄が揃って動く。
一つの銘柄だけが上がっているのではなく、セクター全体が上がっているなら、それはセクターへの資金流入だ。
逆に、セクター全体が弱いのに、一つの銘柄だけ強い場合。
それは個別の材料で動いている可能性が高い。
セクターの流れとは別の話だ。
この違いを意識するだけでも、相場の見え方が変わってくる。
実践が理論になる
セクターローテーションの理論は、後から学んでも遅くない。
まずは目の前の銘柄の動きを観察する。
どのセクターが強いか、どこに資金が流れているかを感じ取る。
その積み重ねが、自然と景気サイクルの理解につながっていく。
実践的な観察が、教科書的な理論を裏付ける。
その順番の方が、腑に落ちると思う。
相場は、資金の流れでできている。
今どこに資金が集まっているのか——それを読む目を持つことが、セクターローテーションを理解する第一歩だと思う。

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