トレードで難しいのは、エントリーだけじゃありません。
いつ利確するか、いつ損切りするか。
このバランスが、長期的な成績を大きく左右します。
利確は早すぎて、損切りは遅すぎる
これ、トレーダーあるあるだと思います。
少し含み益が出ると怖くなって利確してしまう。
でも含み損は「戻るかも」と思って引っ張ってしまう。
結果、利小損大になる。
筆者も昔はそうでした。
勝率はそこそこなのに、トータルでは負けている。
利益より損失の方が大きいから、勝ち数が多くても資金が減っていく。
この記事では、利確と損切りのバランスについて、R倍数という考え方を紹介します。
R倍数とは
R倍数というのは、リスクとリワードの比率のことです。
Rは「Risk」の頭文字で、1回のトレードで許容する損失額を「1R」とします。
たとえば、1000円で買った株を、950円で損切りすると決めたとします。
この場合、損切り幅は50円。
これが1Rです。
で、利確目標を1100円に設定したとすると、利益幅は100円。
損切り幅50円の2倍なので、これは「2R」になります。
このトレードは「リスクリワード1:2」ということになります。
なぜR倍数が大事なのか
R倍数を意識する理由は、勝率だけでは勝てないからです。
極端な例を出します。
勝率80%だけど、勝つときは1万円、負けるときは5万円。
10回トレードすると、8勝2敗。
利益は8万円、損失は10万円。
トータルでマイナス2万円です。
逆に、勝率40%だけど、勝つときは5万円、負けるときは1万円。
10回トレードすると、4勝6敗。
利益は20万円、損失は6万円。
トータルでプラス14万円。
勝率が低くても、R倍数が良ければトータルで勝てる。
逆に、勝率が高くても、R倍数が悪ければトータルで負ける。
だから、1回1回のトレードで「どれだけのリスクを取って、どれだけのリターンを狙うか」を意識することが大事なんです。
1:2をベースに考える
じゃあ、R倍数はいくつを狙えばいいのか。
筆者は、リスクリワード1:2をベースにしています。
つまり、損切り幅の2倍の利益を狙う。
50円の損切りなら、100円の利確を目指す。
なぜ1:2かというと、これくらいあれば勝率が5割を切っても利益が残るからです。
1:2のトレードを10回やって、4勝6敗だったとします。
勝ちが4回で各2R、負けが6回で各1R。
利益は8R、損失は6R。
トータルでプラス2R。
勝率4割でもプラスになる。
もちろん、毎回きっちり1:2で決済できるわけではありません。
相場の状況によって、早めに利確することもあるし、損切りが想定より深くなることもある。
でも、「1:2」という基準を持っておくと、少なくとも「このトレード、リスクに見合ってるか?」という判断がしやすくなります。
場面によって変える
1:2をベースにしていると言いましたが、固定ルールとしてガチガチに守っているわけではありません。
場面によって変えます。
たとえば、強いトレンドが出ているときは、もっと伸ばせる可能性がある。
1:2で利確せずに、1:3や1:4を狙うこともあります。
逆に、レンジ相場で小さく取りにいくときは、1:1.5くらいで手堅く利確することもある。
大事なのは、エントリーする前に「この場面なら、どれくらいのリワードが見込めそうか」を考えることです。
損切りラインは決まっている。
じゃあ利確はどこを狙うか。
それがリスクに見合っているか。
見合っていないなら、そもそもエントリーしない。
この判断を、毎回やる。
損切りを先に決める
R倍数を考えるとき、順番としては損切りを先に決めます。
「この銘柄、どこまで下がったら撤退するか」
これを先に決める。
直近の安値を割ったら撤退とか、移動平均線を明確に割ったら撤退とか。
根拠のある損切りラインを設定する。
損切りラインが決まれば、損切り幅がわかる。
損切り幅がわかれば、1:2なら利確目標がいくらになるか計算できる。
その利確目標が現実的かどうかを考える。
直近の高値を超えられそうか、抵抗線はないか。
無理そうなら、このトレードはリスクに見合わないから見送り。
いけそうならエントリー。
こういう順番で考えると、「なんとなくエントリーして、なんとなく利確して、なんとなく損切り」というのがなくなります。
利確が難しい
正直に言うと、損切りより利確の方が難しいと思っています。
損切りは、ラインを決めておけば機械的にできます。
逆指値を入れておけば、自動的に執行される。
感情が入る余地が少ない。
でも利確は、伸ばそうと思えばいくらでも伸ばせる。
「もう少し上がるかも」「ここで売ったら、さらに上がったときに後悔する」
そういう欲が出てくる。
で、結局売り時を逃して、含み益が減っていく。
最悪、含み損に転落する。
だから、利確も損切りと同じように、事前にある程度決めておく方がいいと思っています。
「ここまで来たら、最低でも半分は利確する」とか、「2R取れたら、残りはトレーリングストップで追いかける」とか。自分なりのルールを持っておく。
利確と損切りのバランスは、トレードを続けていく中で少しずつ調整していくものだと思います。
最初から完璧にできる人はいません。
筆者も、未だに「もっと伸ばせたのに」「もっと早く切るべきだった」と思うことはあります。
ただ、R倍数という考え方を知っておくと、少なくとも「このトレードはリスクに見合っているか」を考える習慣がつきます。
1:2をベースに、場面で調整する。
筆者はこのやり方で、なんとかやっています。

コメント