一目均衡表は、日本で生まれたテクニカル指標です。
チャートに表示すると「雲」と呼ばれる独特の帯が現れて、見た目のインパクトがすごい。
登録商標のⓇマークまでついていて、なんだか本格的な雰囲気がある。
筆者も、その「本物感」に惹かれて使っていた時期がありました。
結論から言うと、今は使っていません。
大局を見るには便利だけど、細かいエントリータイミングを計るには向かない。
それが実際に使ってみて感じたことです。
この記事では、一目均衡表の基本的な見方と、実践で感じたことを書いていきます。
5つの線で構成されている
一目均衡表は、5つの線で構成されています。
転換線は、過去9日間の最高値と最安値の中間値。
短期的な方向性を示すもので、移動平均線でいう短期線に近いイメージです。
基準線は、過去26日間の最高値と最安値の中間値。
こちらは中期的な方向性。
移動平均線の中期線のような役割です。
先行スパン1は、転換線と基準線の中間値を26日先にずらして表示したもの。
先行スパン2は、過去52日間の最高値と最安値の中間値を、同じく26日先にずらしたもの。
この先行スパン1と2の間が塗りつぶされて、あの独特の「雲」になります。
最後に遅行スパン。
当日の終値を26日前にずらして表示したもので、過去の価格と今の価格を比較するために使います。
文字で説明すると複雑に感じますが、チャートに表示してみると視覚的にはわかりやすい。
雲の上にいるか下にいるか、それだけで相場の雰囲気がつかめます。
雲の見方
一目均衡表の最大の特徴は、やっぱり雲です。
先行スパン1が上にあるときは上昇雲、先行スパン2が上にあるときは下降雲。
チャートツールによって色は違いますが、だいたい色分けされています。
雲が厚ければサポートやレジスタンスとして強く機能する。
薄ければ突破されやすい。
価格が雲の上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンド、雲の中にいるときは方向感がない。
これだけ覚えておけば、一目均衡表の基本は押さえたことになります。
三役好転と三役逆転
一目均衡表には「三役好転」「三役逆転」という有名なシグナルがあります。
三役好転は、転換線が基準線を上抜け、遅行スパンが価格を上抜け、価格が雲を上抜け、この3つが揃った状態。強い買いシグナルとされています。
三役逆転はその逆で、3つとも下抜けた状態。強い売りシグナル。
ただ、正直なところ、三役好転が揃った時点でトレンドはかなり進んでいることが多い。
「シグナルが出た=エントリーポイント」というより、「トレンドが確認できた」くらいの意味で捉えた方がいいと思います。
使ってみて感じたこと
筆者が一目均衡表を使っていたときに感じたのは、大局を見るには便利だということ。
雲の上にいれば買い目線、下にいれば売り目線。
それだけで相場の方向性がわかる。
ごちゃごちゃ考えなくても、パッと見で判断できるのは強みです。
一方で、細かいエントリータイミングを計るのには向かない。
三役好転を待っているとエントリーが遅れるし、雲だけ見ていても「ここで買う」という判断はしにくい。
結局、エントリーのタイミングはローソク足や出来高、RSIなど別の指標で判断することになりました。
一目均衡表だけで完結させようとすると、どうしても無理が出る。
他の指標と組み合わせて、大局確認用として使うのが現実的な使い方だと思います。
今は使っていない理由
今、筆者は一目均衡表を使っていません。
大局を見るならTPOや移動平均線で十分だし、細かいエントリーには別の指標を使う。
一目均衡表の出番がなくなった、というのが正直なところです。
ただ、知識として押さえておく価値はあります。
一目均衡表を使っているトレーダーは多いし、雲がサポートやレジスタンスとして意識されている場面もある。
自分が使わなくても、他の人が見ているものを知っておくことは、相場を読む上で無駄にはなりません。
登録商標のⓇマークに惹かれて使い始めた指標だけど、万能ではなかった。
大局を見る道具として、引き出しの一つに入れておく。
——それくらいの距離感が、ちょうどいいのかもしれません。

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