エクイティカーブストップの設計|スイングのDD管理を実装する

ドローダウンと連敗の管理」で、DDの概念と縮小ルールは書いた。 でも、あれは「考え方」の話。

ここでは「実装」の話をする。

ドローダウンを止める仕組みには、大きく2つある。デイリーストップとエクイティカーブストップ。スイングトレーダーにとって、どちらが機能するのか。結論から言えば、エクイティカーブストップのほうが合う。

目次

DDストップの2つの型

デイリーストップ(1日単位の損失上限)

その日の損失が一定額、あるいは一定率を超えたら、その日はトレードを止める。シンプルで、デイトレーダーには効く。1日のうちに何度もエントリーする人なら、熱くなって連射するのを止められる。

ただ、スイングでは機能しにくい。エントリーが1日に集中しないから、「今日止めよう」というルールの出番がない。しかもスイングのポジションは翌日に持ち越す。今日の損失を止めても、明日ギャップダウンすればそのまま食らう。1日単位のストップでは、スイングの時間軸をカバーできない。

エクイティカーブストップ(資金曲線ベースのストップ)

自分の資金曲線——エクイティカーブ——に移動平均線を引く。カーブがMAを下回ったら、新規エントリーを停止する。あるいはロットを縮小する。

やっていることは、チャートにMAを引いてトレンドを判断するのと同じ。ただし対象が「銘柄の価格」ではなく「自分の累積損益」になる。カーブがMAの上にあれば手法は機能している。下にあれば、何かがズレている。

スイングとの相性がいい理由は、判断の時間軸が合うから。数日〜数週間の波で損益が動くスイングでは、資金曲線のトレンドで状態を見るのが自然な粒度になる。

なぜスイングにはエクイティカーブストップが合うのか

スイングは1日に何度もエントリーしない。デイリーストップが発動する場面自体が少ない。

スイングの損益は「数日〜数週間の波」で動く。1日単位で見ると、含み損が翌日に解消されることもあるし、含み益が翌日に消えることもある。日次の上下にいちいち反応するデイリーストップは、スイングではノイズを拾う。

エクイティカーブストップは、もっと大きな波で判断する。直近20トレード分の累積損益にMAを引くから、1日や2日の振れでは動かない。手法が「数週間単位で」不調に入ったかどうかを見る仕組みで、スイングのリズムに合っている。

もうひとつ、エクイティカーブストップは「手法の状態モニタリング」として機能する。カーブがMAを割ったということは、直近のトレードが平均を下回っているということ。つまり、手法が現在の相場に合っていない可能性がある。「止める」だけでなく「気づく」ための仕組みでもある。

補足しておくと、デイリーストップが不要という意味ではない。「1日に3つ以上のポジションを新規に建てない」のような日次ルールは別途あっていい。ただ、損失ベースの日次ストップはスイングの時間軸には合わない。

エクイティカーブストップの設計

MAの種類と期間

SMAかEMAか。SMAのほうがノイズに反応しにくく、スイングには向いている。EMAだと直近の数トレードに引っ張られすぎて、ON/OFFが頻繁に切り替わる。

期間は20〜30トレード分が目安。スイングで月に10〜15トレードするなら、直近2〜3ヶ月分の平均になる。期間が短すぎると些細な連敗で停止シグナルが出て、期間が長すぎると反応が遅れてDDが深くなってから止まる。20トレードはこのバランスが取れる帯域。

トリガー条件

カーブがSMA(20)を下回ったら、新規エントリーを停止する。あるいはロットを50%に縮小する。カーブがSMA(20)を上回ったら、通常運転に復帰する。

「停止」と「縮小」のどちらを選ぶかは、運用スタイルによる。完全停止はDDの深掘りを防ぐが、回復の機会も逃す。縮小はチャンスを残すが、DDが続く可能性もある。

迷うなら、最初は「縮小」から始めるのが現実的。完全停止は精神的にきつい。数週間まったくトレードしない期間が続くと、復帰のタイミングが掴みにくくなる。縮小なら相場との接点を保ちながら、ダメージを抑えられる。

kView Diamondとの連携

kView Diamondのマンスリーレポートからエクイティカーブを確認できる。月次のレビューはここで済む。

日次〜トレード単位で管理するなら、スプレッドシートが現実的。トレード結果を毎回記録して、累積損益の列を作り、そこにSMA(20)を引く。Googleスプレッドシートなら関数1行で出る。チャートで可視化すれば、カーブとMAの関係が一目で見える。

実装テンプレ

ステップ1. トレード記録から累積損益の列を作る。1トレードごとに、前回までの累積に今回の損益を加算するだけ。

ステップ2. 累積損益にSMA(20トレード)を引く。直近20トレードの累積損益の平均値。スプレッドシートなら =AVERAGE(範囲) で出る。

ステップ3. ルールを設定する。

  • 累積損益がSMA(20)を下回ったら → 新規エントリー停止。既存ポジションは通常の損切りルールで管理する。
  • 累積損益がSMA(20)を上回ったら → 通常運転に復帰。
  • 復帰後の最初の1週間はロット70%で様子を見る。いきなり全力で戻ると、再びMAを割るリスクがある。

ステップ4. 月次でレビューする。kView Diamondのマンスリーレポートと突き合わせて、「停止した時期が本当にDDだったか」「復帰のタイミングは適切だったか」を振り返る。ルールが機能しているかを確認する場で、ルールを変える場ではない。変えるなら四半期に一度、十分なサンプルが溜まってから。

よくある疑問

Q. エクイティカーブストップ中に大相場が来たら?

機会損失は起きる。それは受け入れる。DDが深い状態で大相場に乗ろうとすると、ロットが大きすぎて逆行時に致命傷になる。手法が機能していない時期に無理をするより、「休む」ほうが長期的なリターンは高い。大相場は何度でも来る。でも、資金が消えたら二度と戻らない。

Q. 月間DD停止ルール(概論記事)との併用は?

併用する。月間DD停止は「最終防衛ライン」で、月の損失が-8%〜-10%を超えたらすべてのトレードを止める。エクイティカーブストップは「早期警戒」で、手法の不調を数週間単位で検知する。レイヤーが違う。早期警戒で引っかかれば、最終防衛ラインに到達すること自体が減る。

Q. ショートにも使える?

使える。ロングとショートを合算したエクイティカーブで全体の状態を見る。ただし、ロング・ショート別にカーブを分けてモニタリングすると、「どちらの手法が不調か」がわかる。合算で停止シグナルが出たとき、ロングだけが不調でショートは機能している、というケースもある。分けて管理するのがベター。

まとめ

スイングにはエクイティカーブストップが合う。

デイリーストップはデイトレの仕組み。スイングの時間軸では、ノイズを拾うだけで終わる。

エクイティカーブにSMA(20トレード)を引いて、下回ったら停止か縮小。上回ったら復帰。これだけ。

資金曲線は、手法が今この相場で機能しているかを教えてくれるセンサーだ。チャートにMAを引いてトレンドを見るのと同じことを、自分の損益に対してやる。それがエクイティカーブストップの本質。

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この記事を書いた人

投資歴10年。様々なインジケーターや分析サイトを駆使し市場と向き合ってきた

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