同じ出来高でも、買いと売りのどちらが優勢だったか、知りたくないですか?
ボリュームフットプリント(Volume Footprint)は、出来高の内訳を可視化し、各価格帯で「買いと売りのどちらが強かったか」を明らかにする分析手法です。
通常のチャートでは見えない、機関投資家や大口の動きまで読み取ることができます。
この記事では、ボリュームフットプリントの基礎から実践的な使い方まで、初心者にもわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・ボリュームフットプリントとは何か
・デルタ、累積デルタ、インバランスの意味と読み方
・実際のトレードでの活用方法
・機関投資家の動きを読み取るコツ
ボリュームフットプリントとは?

ボリュームフットプリントは、各価格帯での買い・売りの内訳を視覚的に表示する分析手法です。
通常の出来高との違い
通常のチャートに表示される出来高は、「その時間にどれだけ取引されたか」という総量だけを示します。
しかし、ボリュームフットプリントでは、その出来高の内訳、つまり「買いがどれだけ、売りがどれだけ」という攻防の結果まで見ることができます。
たとえば、同じ1000株の出来高でも、 「買い800株 vs 売り200株」なのか、 「買い200株 vs 売り800株」なのかでは、まったく意味が違います。
この違いを可視化するのが、ボリュームフットプリントです。
板情報との関係
ボリュームフットプリントは、歩み値データ(実際に約定した価格と数量の記録)から作られます。
取引所の板情報で、ビッド(買い注文)とアスク(売り注文)のどちらに約定したかを追跡することで、「この価格帯では買いが優勢だった」「この価格帯では売りが優勢だった」という情報を抽出します。
なぜプロのトレーダーが使うのか?
ボリュームフットプリントを使うことで、以下のことがわかります。
- 大口投資家が仕込んでいる価格帯
- 機関投資家の売買の意図
- トレンドの本当の強さ(見せかけか、本物か)
- 価格が反転しやすいポイント
特に、機関投資家やプロのトレーダーは、通常のチャートでは見えない「内側の動き」を読み取るために、ボリュームフットプリントを使っています。
どうやって表示するか?
ボリュームフットプリントは、TradingView、NinjaTrader、Sierra Chartなどのチャートツールで表示できます。
ただし、歩み値データが必要なため、対応している市場やツールが限られることもあります。
ボリュームフットプリントの3つの重要指標

ボリュームフットプリント分析では、主に3つの指標を使います。
デルタ(Delta)
デルタとは、買い出来高から売り出来高を引いた値のことです。
計算式:デルタ = 買い出来高 – 売り出来高
プラスのデルタ 買いが優勢だったことを示します。
数値が大きいほど、買いの勢いが強かったことを意味します。
マイナスのデルタ 売りが優勢だったことを示します。
数値が大きいほど(マイナスが大きいほど)、売りの勢いが強かったことを意味します。
デルタの使い方
各価格帯でのデルタを見ることで、攻防が激しかったポイントがわかります。
たとえば、ある価格帯で非常に大きなプラスのデルタが出現した場合、そこで大口の買いが入った可能性が高く、今後もその価格帯は強いサポートとして機能しやすくなります。
逆に、大きなマイナスのデルタが出現した価格帯は、強いレジスタンスになりやすいです。
累積デルタ(Cumulative Delta)
累積デルタとは、一定期間のデルタを積み上げた(累積した)ものです。
累積デルタの見方
累積デルタは、その期間全体で「買いと売りのどちらが優勢だったか」を示します。
累積デルタが上昇している場合、全体として買いが優勢。
累積デルタが下降している場合、全体として売りが優勢です。
価格と累積デルタの乖離(ダイバージェンス)
累積デルタで最も重要なのが、価格との乖離です。
弱気のダイバージェンス 価格が上昇しているのに、累積デルタが下降している場合。
見た目は上昇トレンドだが、実は売りが蓄積されている状態です。
トレンド転換の可能性が高まります。
強気のダイバージェンス 価格が下降しているのに、累積デルタが上昇している場合。
見た目は下降トレンドだが、実は買いが蓄積されている状態です。
反転上昇の可能性が高まります。
累積デルタは、トレンド転換の先行指標として非常に有効です。
インバランス(Imbalance)
インバランスとは、買いまたは売りが極端に偏っている状態のことです。
インバランスの意味
インバランスが発生しているということは、一方的な値動きが起きたことを示します。
たとえば、急激に価格が上昇し、その価格帯では買いばかりで売りがほとんどなかった場合、その価格帯には「インバランス」が形成されます。
インバランスの埋め戻し
インバランスが発生した価格帯は、後で価格が戻ってくる(埋められる)ことが多いです。
これは、ローソク足の「窓埋め理論」と似た考え方です。
一方的に上昇した価格帯は、後で調整が入り、再びその価格帯に戻ってくる可能性があります。
インバランスの実践活用
実際のトレードでは、インバランスの層を見ることで、その値動きが実体を伴っているかどうかを判断できます。
たとえば、価格が下落しているとき、インバランスの層がしっかり形成されていれば、それは「本物の売り圧力」による下げだとわかります。
逆に、インバランスがほとんどない下げは「見せかけの下げ」の可能性があり、すぐに反発する可能性があります。
このように、インバランスは値動きの「質」を判断するために非常に有効です。
ボリュームフットプリントの基本的な読み方
ボリュームフットプリントのチャートを見るとき、主に「色分け」と「価格とデルタの関係」を確認します。
色分けで攻防を把握
多くのチャートツールでは、ボリュームフットプリントを色分けで表示します。
- 緑色(または青) – 買いが優勢な価格帯
- 赤色(またはオレンジ) – 売りが優勢な価格帯
色の濃さや数値の大きさで、攻防の激しさがわかります。
たとえば、緑色が濃い価格帯では、強い買い支えがあったことを示し、今後もその価格帯はサポートとして機能しやすくなります。
価格とデルタの関係
価格の動きとデルタの方向を見ることで、トレンドの強さを判断できます。
価格上昇 + プラスのデルタ 健全な上昇トレンド。
買いが牽引しており、トレンドは継続しやすいです。
価格上昇 + マイナスのデルタ 弱い上昇トレンド。
売りに押されながらの上昇で、反転リスクがあります。
価格下落 + マイナスのデルタ 健全な下降トレンド。
売りが牽引しており、トレンドは継続しやすいです。
価格下落 + プラスのデルタ 弱い下降トレンド。
買い支えが入っており、反転の可能性があります。
大口の動きを読む
ボリュームフットプリントでは、機関投資家や大口の動きを読み取ることもできます。
急激に大きなデルタが出現 大口が参戦した可能性が高いです。
その価格帯は今後も意識されやすくなります。
同じ価格帯で継続的にプラス/マイナスのデルタ 機関投資家が時間をかけて仕込んでいる可能性があります。
このような価格帯は、強力なサポート・レジスタンスになります。
ボリュームフットプリントを実践で使う方法
ボリュームフットプリントは、実際のトレードでどのように活用すればよいのでしょうか。
エントリーポイントの判断
累積デルタのダイバージェンスを狙う 価格が上昇しているのに累積デルタが下降している場合、トレンド転換を狙って売りエントリー。
逆に、価格が下降しているのに累積デルタが上昇している場合、反転を狙って買いエントリー。
インバランス埋め戻しを狙う インバランスが発生した価格帯に、後で価格が戻ってくるタイミングを狙ってエントリー。
大きなデルタが出た価格帯での反発を狙う 大きなプラスのデルタが出た価格帯では買い支えがあるため、そこでの反発を狙って買いエントリー。
大きなマイナスのデルタが出た価格帯では売り圧力があるため、そこでの反落を狙って売りエントリー。
損切り・利確の目安
大口の動きがあった価格帯を損切りラインに 大きなデルタが出現した価格帯は、強いサポート・レジスタンスとして機能します。
その価格を明確に割り込んだ場合は、損切りの目安になります。
デルタの方向が反転したら利確 累積デルタの方向が反転し始めたら、トレンドが終わる可能性があるため、利確のタイミングとして使えます。
トレンドの強さを確認
価格上昇に伴ってデルタもプラスで増えている これは強い上昇トレンドを示します。
安心してトレンドに乗ることができます。
価格上昇しているのにデルタがマイナス これは弱い上昇トレンドを示します。
反転リスクがあるため、警戒が必要です。
他の分析との組み合わせ
ボリュームフットプリントは、他のテクニカル分析と組み合わせることで、さらに精度が向上します。
TPO分析と併用 TPO分析でバリューエリアやPOCを確認し、ボリュームフットプリントで買いと売りの攻防を読み取ることで、価格と出来高の両面から市場を分析できます。
ボリュームフットプリントとTPO分析を組み合わせることで、価格と出来高の両面から市場を読み取れます。
TPO分析の基本的な使い方については、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
ローソク足パターンと併用 ローソク足で反転パターンが出現し、かつボリュームフットプリントで大きなデルタが確認できれば、エントリーの信頼性が高まります。
移動平均線でトレンド確認 移動平均線で大きなトレンドの方向を確認し、ボリュームフットプリントで細かいエントリータイミングを見極めることで、精度の高いトレードができます。
注意点
ボリュームフットプリント分析を使う際は、以下の点に注意しましょう。
板情報データが必要 ボリュームフットプリントを表示するには、歩み値データが必要です。
対応しているツールや市場が限られる場合があります。
流動性の低い銘柄では機能しにくい 出来高が少ない銘柄では、ボリュームフットプリントの情報も少なくなり、判断が難しくなります。
リアルタイムでの判断には経験が必要 ボリュームフットプリントは情報量が多いため、リアルタイムでの判断には慣れが必要です。
最初は後からチャートを見返して、練習することをおすすめします。
まとめ:ボリュームフットプリントで大口の動きを掴もう
ボリュームフットプリントは、買いと売りの攻防を可視化することで、通常のチャートでは見えない「内側の動き」を読み取ることができる強力なツールです。
この記事のポイントをおさらい
・ボリュームフットプリントは、出来高の内訳(買いと売り)を可視化する
・デルタ、累積デルタ、インバランスの3つが重要な指標
・価格とデルタの関係から、トレンドの強さや機関投資家の動きが読み取れる
最初は難しく感じるかもしれませんが、実際のチャートで練習を重ねることで、大口の動きや市場の本当の強さが見えるようになります。
まずは、デルタの色分けとインバランスを意識してチャートを見ることから始めてみましょう。
ボリュームフットプリントを使いこなせるようになれば、機関投資家と同じ視点で市場を見ることができるようになります。

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